一、ロボット技術体系の革新と突破を加速する

(一)ロボットのコア技術の関連イノベーション能力の向上

ロボット産業の「基盤構築」プロジェクトを計画・実施する。同産業のコア技術の難関突破リストを発表し、ROS(Robot Operating System)、高性能専用チップとサーボモーター、減速機、コントローラー、センサーなどのコア部品、ならびに人工知能、マルチモード基盤モデルなどの関連技術をめぐり、企業間の連合体組成を支援し、「イノベーション牽引人材の公募」を通じてロボット産業の弱点と技術におけるボトルネックの解決に力を集中させる。難関突破プロジェクトへの資金投入に応じて最高3,000万元の支援金を支給する。

(二)ロボット産業の科学技術イノベーション体系の構築

開放と共有、協同革新を特徴とするロボット産業の科学技術イノベーション体系を構築する。ロボット産業の中堅企業が牽引役を務め、国内外の一流のイノベーション資源を統合し、人型ロボットイノベーションセンターを立ち上げ、コア基盤技術の研究を展開する。ロボット関連企業と「スマートロボット・システムハイテクイノベーションセンター」との産業化の難関突破に向けた共同取組を支援する。ロボット関連企業による市級企業技術センターの建設を支援し、年間主要業務の営業収入を申告条件とする企業に対して、関連要件を1億元以上に緩和することを認める。ロボット関連企業の各種オープンソースプロジェクトへの参加、開放資源を利用したイノベーションレベルの向上を奨励する。

(三)ロボット産業イノベーションの検証のための公共プラットフォームの構築

ロボット製品のパイロットテスト検証プラットフォーム、共有マシニングセンターなどの公共プラットフォームの構築を支援し、開発ニーズに迅速に対応し、ロボット関連企業と科学研究機関に原型機の試作、加工プロセスならびにハイエンド・精密・先端部品の生産などのソリューションを提供する。公共プラットフォームの構築を進める事業者に対して、その構築プロジェクトへの投資金額の30%を超えない範囲内で、最大3000万元の補助金を支給する。また、市級中小企業公共サービスモデルプラットフォームに登録された場合、サービス提供の実績に基づいて奨励金を支給する。各産業集積区はイノベーション検証公共プラットフォームに対して支援を提供する。

二、ロボット産業の集積と発展の推進

(四)ロボット産業拠点の建設

ロボット産業用地の開発と供給を強化し、産業空間の受入力を高めるため、条件の整った区画に率先してロボット産業拠点を建設し、ロボット産業チェーンを構成する各国企業の同区画への誘致・定着に取り組む。企業の研究開発や生産用地の取得に対して、関連審査認可の進捗を加速し、「用地取得次第着工」を実現する。授権された産業パーク開発業者が請け負うロボット標準プラント建設プロジェクトに対し、既存の政策に基づき固定資産投資に対する支援を行う。

(五)ロボット産業に従事する「専精特新」企業の育成

ロボット分野の「専精特新」企業(専門化・精密化・特徴化・新規性を追求する中小企業)の育成により一層力を入れ、専門機関がロボットイノベーション型の中小企業と「専精特新」企業にインキュベーションや投資などのサービスを提供するよう調整し、サービス提供の実績に基づき条件に合致する機関に奨励金を支給する。初めて「一定規模に達する」企業と、初めて生産額が1億元を突破した「専精特新」ロボット関連企業に対して、関連支援を提供する。ロボット起業チームと中小企業のHICOOLグローバル起業コンテスト、創客北京、創客中国などのイノベーション・起業コンテストへの参加を支援する。条件の整った区においてロボット中小企業の特色産業クラスターの育成を奨励する。

(六)ロボット関連企業の重大プロジェクトの実施に対する支援

一連のロボット産業化プロジェクトの実施を支援し、「ロボットでロボットを生産する」ベンチマーク工場を建設し、ロボット製造の全プロセスの無人化・スマート化を実現したロボット関連企業に対し、同プロジェクトの投資金額の30%を超えない範囲内で、最大3000万元の奨励金を支給する。大局性・戦略性を有し、かつプロジェクト貸付金を獲得した建設系重大プロジェクトに対し、人民銀行が発表した同期のローンプライムレート(LPR)を超えない金利に基づき利子補給を実施し、利子補給期間は3年以内とし、年間最大3000万元とする。各産業集積区は区級ロボット産業関連政策を打ち出し、ロボット関連企業のプロジェクト実施の加速を促進する。

(七)北京市・天津市・河北省のロボット産業の協同発展の促進

ロボット関連企業の北京・天津・河北地区での展開を支援し、「産業チェーンの補強」行動に参加し、かつ条件に合致する企業に対して、実際の契約履行金額の5%を超えない範囲で、最大3000万元の奨励金を支給する。地域産業チェーン・サプライチェーン体制の整備をより一層進め、天津市、河北省の産業主管部門と共同で北京市・天津市・河北省ロボット産業協同モデルパークの建設を支援し、北京市・天津市・河北省におけるロボット部品の製造、組立、メンテナンスサービスなどの総合能力を高める。

三、「ロボット+」の革新的な応用シーンの実現の加速

(八)ロボットの「各種業種」でのモデル応用の促進

スマートマニュファクチャリング、スマート農業、スマート建築、スマート医療、スマート物流、スマート介護、スマートビジネス、スマート応急などの応用シーンを組み合わせて、一連のロボットの革新応用シーンを広げ、ロボット応用シーンの需要と供給のマッチングイベントを計画する。『北京市「ロボット+」典型シーン応用目録』を発表し、応用効果が際立ち、比較的高い影響力を持つ典型シーンを目録に組み入れ、その普及を進める。各区、各業界の主管部門はロボットの革新的応用シーンの構築を進める事業者に対して支援を提供する。

(九)ロボット関連イノベーション成果の初試行の促進

「百件のロボット新製品プロジェクト」の実施を加速し、ロボット関連企業のイノベーション成果が最終成果品に至らない段階で、同企業と応用側が協力関係を結び、初試行を実施することを奨励し、製品のアップグレードと成熟化を促進する。奨励金支給の企業条件として、革新的製品を開発する過程で財政資金による支援を受けておらず、かつ北京・天津・河北地区で初回試用された革新的製品に対して製品1台(セット)につき最大50万元、1社当たり最大200万元の年間奨励金を支給する。革新的製品が実用化を達成し、最終成果品となった後、市級重大設備の1台(セット)目応用普及目録に当製品を組み入れることを推奨する。

(十)ロボット関連企業のシステムソリューションの提供能力の向上

ロボット関連企業のスマートマニュファクチャリング・システムソリューションのサプライヤーへのモデル転換を支援し、「新智造100」プロジェクトに自主革新により開発した産業用ソフトウェアとロボット製品を組み合わせたシステムソリューションを優先的に採用することを奨励し、ロボット関連企業の革新的な製品とソリューションを応用したDXの成功事例の普及を強化する。

四、ロボット産業におけるイノベーション要素の確保を強化

(十一)ロボットの関連規格の牽引力を強化

北京市に登録されている事業者がロボット分野の国際規格、国家規格、業界規格などを主導的に検討・制定することを支援し、規格の制定・実施能力を高める。北京市に登録されている事業者が国際標準化イベントおよび国際規格の検討・制定に参加することを奨励する。企業と全国ロボット標準化技術委員会などの規格制定機関とのマッチングを調整し、企業がロボット分野の国家規格を申請することを奨励する。ロボット産業の共通基盤技術、製品の共通規範などの面で団体規格の制定を展開し、一部分野における重要規格が業界の平均水準を適度に上回り、産業の最適化・高度化の規格グループを形成することを奨励する。

(十二)ロボット関連企業の融資と上場に対する支援

イノベーションチームのインキュベーション、技術成果の実用化、企業の合併・買収・再編・拡大を支援するために、100億元規模のロボット産業基金を設立し、第1期の資金規模は20億元以上とする。「上場企業数倍増計画」の実施を計画し、ロボット関連企業の上場に対して関連サービスを適切に提供し、北京市の「専精特新」専門板、全国中小企業株式譲渡システムに登録・上場した優良企業に奨励金を支給する。ロボット関連の「専精特新」企業の北京証券交易所への迅速な上場申請を支援し、株式発行・上場審査の効率を高める。

(十三)ロボット関連企業向けの金融・銀行貸付に関する支援の拡大

中小企業・零細企業の「初回融資」業務に対して、1%の利子補給または保証料の補助を行い、最大1年間支給する。企業が合併・買収貸付金を利用して関連企業を合併・買収することを支援し、業界の集中度を高める。条件に合致する重要ロボット設備などの融資や賃貸プロジェクトに対し、5%を超えない料率に基づき、最大1000万元の年間補助金で企業を支援する。

(十四)ロボット関連人材の導入・育成および産業と教育の融合の促進

ロボット業界をリードする人材の導入を強化し、北京でイノベーション・起業する関連人材に対し、良質なサービスと全面的な保障を提供する。ロボット産業の人材導入と育成により一層力を入れ、ロボット関連企業による至急必要な不足人材と卓越したエンジニアの導入を支援し、企業が導入した特殊人材に対し「一事一議」制により検討することを認める。北京市内の大学がロボット卓越エンジニア学院を建設し、ロボット産業のイノベーション人材の育成を加速することを支援する。ロボット関連企業が高等教育機関、専門学校と共同で市級産業・教育融合プラットフォームを構築し、教育設備を提供し、カリキュラムの開発に参加することを奨励する。ロボット関連企業のイノベーション検証プラットフォームを開放し、実地研修拠点を建設し、大学や専門学校に実習・実地研修の機会を提供することを支援する。職業技能競技大会にロボット関連項目を設けることを計画し、ロボット産業の高度技能人材の育成を加速する。

(十五)ロボット関連企業の国際市場への進出支援

ロボット関連企業が世界ロボット大会、中関村フォーラム、中国国際サービス貿易交易会、中国国際中小企業博覧会、APEC中小企業技術交流・展覧会などの国際イベントに参加し、国際市場に進出し、国際化に対応した経営能力を高めることを支援する。国際的な展示会に参加して製品認証を取得し、海外での商標登録の実現、海外での特許権を取得する企業に対し、現行規定に基づき資金支援を行う。世界ロボット大会を成功裏に開催し、同大会をロボット分野で世界的な影響力を持つ技術交流および産業提携プラットフォームとして整備する。

(十六)ロボット関連企業向けの常態化サービス体制の構築

市場化・法治化・国際化された一流のビジネス環境の構築を加速し、ロボット産業連盟を設立する。ロボット関連企業座談会を定期的に開催し、企業の発展戦略、イノベーション製品の開発、重大プロジェクトの実施、主要政策の実行などの状況を適時に把握する。ロボット重点企業に対して、市・区両級の「サービスパッケージ」システムを通じて関連サービスを的確に提供する。

(情報提供:北京市経済・情報化局)