中国北京市でここ数年、人工知能(AI)技術を活用したCT画像診断支援や運転席に人が乗らない自動運転技術など科学技術イノベーションの成果が次々と現れ、イノベーションを推進する事業者の存在感が高まっている。

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(画像提供:vcg.com)

北京市発展改革委員会はこのほど、ハイテク企業を中心に「専精特新(専業化、精細化、特色化、斬新化)」の特徴を備える企業やユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場企業、1ドル=約148円)で構成する「イノベーション梯団」が市内で形成されつつあり、経済の質の高い発展に新たな原動力を注いでいると指摘した。

北京市内の2021年のハイテク企業数は15年比2・3倍の2万7600社で、全国の都市の中で最多だった。うち中関村国家自主イノベーションモデル区に入居する企業は、売上高の合計が前年比14・9%増の8兆3千億元(1元=約20円)に上った。

21年のユニコーン企業数は15年比2・5倍の102社。市級「専精特新」中小企業に認定された企業のうち、6割近くを次世代情報技術やAI、バイオ医薬、スマート製造などの「高精尖(高度・精密・先端)」産業分野が、7割以上を「製造強国」と「ネットワーク強国」の建設に関わる分野が占めた。

21年末時点で、国家級「双創(大衆創業・万衆革新)」モデル基地は30カ所、国家級インキュベーター(企業支援組織)は64カ所、市級インキュベーターは81カ所、国家級メーカースペースは147カ所、市級メーカースペースは302カ所となった。科学技術部火炬(たいまつ)センターの21年統計年報によると、北京で成長支援を受けている企業約1万2千社の売上高の合計は1406億元に上り、20万人近くの雇用を創出した。

北京市発改委の関係責任者は「『双創』を推進する事業者が首都の活力を引き出している」と指摘。次のステップでは、国際科学技術イノベーションセンターの建設を引き続き加速させ、イノベーション駆動の新たな優位性を構築し、中関村で新たな「先行先試」(先に試み、先に行う)改革を進め、質の高い発展の新たな活力を引き出していくと表明した。