
懐柔区は北京市の北東部にあり、東では密雲区、南では順義区、西では昌平区及び延慶区、北では河北省豊寧県、灤平県、赤城県の3県と隣接している。全区の総面積は2122.8平方キロメートルで、山岳地帯は総面積の89%を占めている。全区には14の鎮郷、2の街道事務所、284の行政村、35のコミュニティがある。2023年末時点の常住人口は44万人です。懐柔は交通の便が良く、都心部からは50キロメートル、首都空港からは32キロメートル、天津港からは170キロメートルで、「首都半時間経済圏」の範囲内にある。
2019年の全区の地域総生産額は328億元で、6%増加した。地方一般公共予算収入は43億元で、6.5%増加した。社会消費財の小売総額は133.8億元で、6%増加した。住民一人当たりの可処分所得は3.99万元で、8.5%増加した。
懐柔は首都の生態涵養エリアである。懐柔は生態環境が美しく、「京郊明珠」や「北京後花園」と称えられている。全区98%以上の地区は北京市一級、二級飲用水源保護区に属しており、地表水の水質は全市一位である。空気の質も良好で、2019年の平均PM2.5濃度は35マイクログラム/立方メートルで、年間大気ダスト量は5.6トン/平方キロメートルで、いずれの数値の少なさも全市一位である。懐柔は国家森林都市の創建を全面的に開始し、懐柔都市森林公園を建設し、林木緑化率と森林被覆率はそれぞれ80.5%と58.5%に達し、全国緑化模範都市、国家レベルの生態示範区(示範区=モデル地区)など30あまりの栄誉称号を相次いで獲得し、北京市民の中で最も人気がある観光地となっている。全区では19の国家Aクラス観光スポットと294の良質な民宿が建設され、「国家全域観光示範区」の創建機関となり、第一期「全国民宿産業発展示範区」となった。2019年に全区Aクラス以上(Aクラスを含む)の主要な観光地の営業収入は計4.3億元を実現し、630.9万人の観光客を招き入れた。そのうち、海外観光客は前年比11.7%増の130.2万人であった。良好な生態環境は既に懐柔の発展の絶好の看板となっている。
長年の努力を経て、懐柔区は懐柔科学城をはじめ、「1+3(生態涵養を核心とし、科学技術革新・会議とレジャー・映像文化を重んじる)」の融合発展の新しい構造を全面的に作り上げ、首都の「4つの中心(全国政治の中心・文化の中心・国際交流の中心・科学技術革新の中心)」であるという戦略的位置づけと緊密に結びつけている。全市の発展構造におけるポジショニングの優位性がより際立ち、極めて重要な戦略的チャンスを迎えている。
懐柔は建設を加速させている科学の町である。2017年5月、国家発展改革委員会、科学技術部は正式に「北京懐柔総合性国家科学センター建設案」を承認し、国務院は当該センターを北京が全国科学技術革新の中心を建設するための三大科学城の一つとした。建設が計画された面積は100.9平方キロメートルである。懐柔科学城はオリジナルイノベーションを際立った特徴とし、世界レベルのオリジナルイノベーションエリアを建設する予定で、物質科学・空間科学・生命科学・知能科学・地球と大気環境などを主要な発展方向と決めた。2019年、科学城において科学施設の建設が全面的に展開され、総合極端条件実験装置などの5大科学装置は全て着工され、材料ゲノム・クリーンエネルギー材料のテスト診断と研究開発などの第一期の5つの学際研究プラットフォームが設備設置・調整の段階に入った。11の科学教育インフラと第二期の5つの学際研究プラットフォームの建設も開始した。革新的環境システムを全面的に構築し、革新小鎮の運営を開始し、北京海創産業技術研究院・中国科学院大学懐柔産業研究院・魏橋産業研究院が相次いで入居した。絶えず国際学術交流協力を強化し、国家科学センター国際協力連盟、「一帯一路」国際科学組織連盟も正式に加入した。懐柔は「100・365(100のプロジェクトと365日)」の科学行動計画を実施し、懐柔科学城の都市構造の着実な形成を促進し、北京懐柔総合性国家科学センターの初段階の建設成果を出し、全国科学技術革新中心と革新型国家建設の新たな支えとなるよう努力する。科学城の都市形態、重大な科学施設、都市のインフラや付帯機能、科学革新環境システムの構築を加速させ、懐柔科学城の国際化レベルと国際影響力を引き続き向上させる。
懐柔は発展中の首都国際交流新区である。首都の国際交流中心の建設のために、国際会議センター・国際会展センター・日出東方ホテルなど世界一流の会議・展覧施設を建設した。APEC会議、第1回・第2回「一帯一路」国際協力サミットなどのハイエンド会議を円満に開催した。雁栖湖国際会都がこれによって国内外で有名になり、対外交流の重要な担い手となり、高品質な会議・展示産業の要素の集積を引き寄せ、会議・展示業の発展の堅実な基礎となっている。ここ数年、世界革新経済フォーラム・「中国を読み解く」国際会議・G20サミット・中国とアフリカメディア協力フォーラム・第7回インターネットセキュリティ大会・2019バイドゥAIG大会などのハイエンド会議・展示活動が相次いで懐柔で催され、中国会議産業大会は今後毎回、懐柔で開催されることとなった。。2019年、懐柔で2680回の各種の会議が開催され、来場者数は42万人であった。懐柔は今後、引き続き雁栖湖国際会都の収容力の着実な向上に取り組み、湖をめぐる山景の整備と景観改善を推進し、美しい国際交流環境を構築し、会都のサービス機能を充実させ、懐柔を国家外交サミット・ハイエンド会議の集中地、ハイエンドの学術・ビジネス・ファッションの情報公表の目的地とし、会議・展示産業発展の新たな高地とする。
懐柔は国家レベル映像産業示範区である。2014年5月、中国国家新聞出版広播電影電視総局は中国(懐柔)映像産業示範区の設立に同意した。当該示範区は全国初の国家レベル映画産業示範区である。現在、当該示範区には既に中影、星美などの映画界のリーディングカンパニーが集まり、博納・華誼・海潤・金英馬・小馬奔騰など600社余りの映像関連企業が引き寄せられた。当該示範区はアジア一の大規模なポストプロダクションシステムを持っており、全国の映画・テレビドラマのポストプロダクションの60%を負担している。近年の興行収入が一億元を超えた中国産映画の半数近くは懐柔で製作された。中国映画華表賞などの映像文化の代表的なイベントが懐柔で行われ、北京国際映画祭が永久に懐柔で開催されることになり、懐柔の中国映画の都としての知名度と影響力は高まっている。北京電影学院懐柔新キャンパスの第一期工事の竣工につれて、「阿里文娯産業基地」の正式入居と光華視覚園の運営開始が当該示範区の発展に大きく寄与し、区内での映像文化関連産業の集積が加速した。懐柔は引き続き、映像関連の核心的な資源を集め、中国映画の都としての発展の活力を高め、機能と要素を統合的に配置し、映像産業示範区の建設を加速させる。将来、懐柔は必ず国際的な高水準を持ち、総合的な競争力の高い国家レベル映画産業示範区になるだろう。
懐柔は共に建設し、共に分かち合い、仕事と居住に適する高品質な示範区である。懐柔は経営環境を全面的に最適化し、市レベルの経営環境最適化の「9+N」政策の2.0バージョンを着実に実行し、区の指導者による企業訪問の制度を続け、重点企業向けの「サービスパッケージ」と「親清管家(親・清の執事)」のサービス体系を補完する。全市で先駆けて区・鎮・村の三級政務サービスシステムの「一窓(窓口の一元化)」改革を完成させ、「家から出なくても手続きをすることができる」、「一括で企業サービスを提供する」などの「懐柔経験」を形成し、企業と民衆がスムーズに関連手続きをすることができるようになった。懐柔の産業グレードアップ態勢も際立ち、懐柔区の産業発展5ヵ年行動案と、区属企業の品質・効率向上3ヵ年行動案を制定し、「高精尖(ハイレベル・精密・先端的)」産業発展のトップレベルデザインと産業業態戦略配置研究を強化し、経済発展の新しい動力源を作ることに努めている。懐柔は持続的に民生への投資を増やし、インフラ整備と公共サービスシステムの構築を加速させ、完備した社会保障体系を構築し、全区の民衆の獲得感を絶えず高めていくことに努力している。
懐柔の政策体系は整っている。近年、「懐柔区の地域経済のモデル転換と発展を促進する特別資金支援政策」などが相次いで制定され、その内容に新興産業の発展特定資金、企業の品質・効率向上特別支援資金、中小零細企業発展特別支援資金、調整緩和特別資金などが含まれ、企業の懐柔での発展を促進している。また、「懐柔区地域経済発展促進財政政策」が公布され、「占地経営」と「非占地経営」という二種類の経営方式に分けて、企業の懐柔での発展に財政支援を与える。以上の政策を踏まえ、映像産業の発展に対しては、映像産業示範区における産業の集積を促進する特別政策を制定し、企業への奨励、賃金補助、投資補助、インキュベーション支援、企業誘致への奨励など10の面において懐柔で投資・発展する企業を支援する。また、懐柔区の「高精尖」産業の発展や、懐柔科学城産業発展目録などの政策を検討しており、政策の支持範囲をさらに拡大し、政策の誘導作用と有効性を強化し、完備された政策による産業サポートシステムを構築していく。