中国(北京)自由貿易試験区における外国仲裁機関の業務機関設立登録に関する管理弁法

第一条 本弁法は、中国(北京)自由貿易試験区における外国仲裁機関の業務機関設立登録を遂行し、自由貿易試験区の建設を促進することを目的として、関連規定に従い、実際の状況を踏まえて制定されるものである。

第二条 本弁法は、中国(北京)自由貿易試験区において外国仲裁機関が設立する業務機関の登録・管理及びその関連活動に適用される。

本弁法における「外国仲裁機関」とは、外国又は中国の香港特別行政区、マカオ特別行政区、台湾地区において合法的に設立された営利を目的としない仲裁機関、及び中国が加盟した国際機関が仲裁業務を行うために設立した機関である。

第三条 国外仲裁機関は、登録を経て中国(北京)自由貿易試験区に業務機関を設立し、国際商事、投資などの分野の民事・商事紛争について、外国関連仲裁業務を展開することができる。

外国仲裁機関が中国(北京)自由貿易試験区に設立した業務機関(以下、業務機関)は、このほかに支店又は派遣事務所を設立してはならない。

第四条 業務機関の責任者、従業員、仲裁員は、中国での就労及び生活するに当たって、中国の法律、法規を遵守し、職業道徳を厳守し、中国の国家利益、社会公共利益及び国民、法人その他の組織の合法的権益を侵害しないようにすること。

第五条 業務機関及びその従業員は、法律に基づいて仲裁業務を遂行するに当たって、法的保護を受ける。

第六条 北京市司法局(以下、市司法局)は、外国仲裁機関の中国(北京)自由貿易試験区における業務機関設立登録を担当し、その外国関連仲裁業務の遂行を法律に基づいて管理する。

第七条 外国仲裁機関が中国(北京)自由貿易試験区における業務機関の設立申請をする場合、以下の要件を満たす必要がある。

(一)中国国外で合法的に成立していること。

(二)5 年以上、仲裁及び関連する紛争解決業務を実質的に展開していること。

(三)高い信憑性と国際的影響力を有すること。

(四)任命予定の業務機関責任者は、中国の法律上完全な民事行為能力を有し、故意の犯罪により刑事処分を受けたことがないこと。

(五)任命予定の業務機関責任者は、常勤であり、責任者及び他の従業員は、他の機関に在職していないこと。

第八条 外国仲裁機関が中国(北京)自由貿易試験区における業務機関の設立申請をする場合、市司法局に申請書を提出し、次の書類を1式2通提出しなければならない。

(一)業務機関設立申請書

(二)中国国外で合法的に成立することを証明する書類

(三)本弁法第七条(二)から(五)までの規定に適合する関連状況の説明書及び誓約書

(四)仲裁機関の定款、仲裁規則、仲裁機関のメンバーリストとその概要

申請書類が外国語で作成されている場合は、中国語の翻訳を添付する必要がある。内容が一致しない場合は、中国語が優先される。

第九条 市司法局は、申請資料を受領した日から5業務日以内に、申請者に受理するか否かを通知し、又は訂正すべき資料を1回で通知し、正式に受理した日から20日以内に、登録を許可するか否かを決定しなければならない。20日以内に決定できない場合は、市司法局の責任者の承認を得て10日間延長することができ、延長の理由を申請者に通知する。

市司法局は登録許可を決定した日から10業務日以内に、業務機関の登録について司法部に届出を行い、司法部が統一社会信用コードを決定した後、業務機関に登録証明書を発行しなければならない。

第十条 業務機関は、市司法局から登録証明書が交付された日から3カ月以内に、以下の資料を市司法局に提出し、届出を行わなければならない。

(一)名称、所在地、責任者、業務内容など、業務機関の基本状況の説明

(二)業務機関の仲裁員/専門家の名簿又は推薦する仲裁員/専門家の名簿(あれば)、業務機関の事務所の証明書類

(三)業務機関の責任者、従業員の登記表及び身分証明書類

(四)税務登録証明書の写し、印鑑様式、銀行口座

特別な事情により、前項に規定する資料を所定の期間内に登録することができない場合、市司法局に延長を申請することができる。

第十一条 業務機関が登録し、又は届け出た情報に変更が生じた場合は、その日から15日以内に市司法局に当該状況を届け出なければならない。

第十二条 業務機関が仲裁業務において国際交流・協力を行うことを奨励し、業務機関が当市に設置された仲裁機関と以下の交流・協力を行うことを支援する。

(一)協力協定の締結

(二)仲裁員及び調停員の相互推薦

(三)インターンシップ及び職務間交流の相互提供

(四)法廷尋問、証人喚問などの仲裁業務活動の相互円滑化

(五)研修、会議、セミナー、プロモーション活動の共同実施

(六)その他の仲裁業務の交流・協力

第十三条 業務機関は、その公式サイト又は当市の公共法律サービスサイトにおいて、その定款、仲裁規則などの重要な情報を公開し、毎年3月31日までに前年度の活動報告書を公表しなければならず、その主な内容は次のとおりとする。

(一)仲裁業務の実施状況

(二)裁判所の決定により裁定が取り下げられ、又は執行されず、承認・執行されなかった場合

(三)財務会計監査報告書

(四)仲裁員/専門家の名簿若しくは推薦する仲裁員/専門家の名簿の変更

(五)開示を要するその他の状況

第十四条 業務機関を設置した外国仲裁機関は、事業を停止する場合、又は業務機関の廃業を決定する場合、市司法局に登録抹消申請を提出しなければならない。

第十五条 業務機関は、下記のいずれかに該当する場合、市司法局は登録抹消の手続を行い、司法部に届出を行わなければならない。

(一)業務機関を設置した外国仲裁機関が事業を停止する場合

(二)外国仲裁機関が業務機関の廃業を申請する場合

(三)業務機関の設立登録を法律に基づいて取り消された場合

(四)法律、法規及び規則で定めるその他の状況

前項の規定により抹消しようとする業務機関は、抹消前に清算を行うものとする。

第十六条 下記のいずれかに該当する業務機関は、廃業を申請する場合、抹消を許可しないものとする。

(一)現在も係争中の仲裁案件がある場合

(二)税金の未納分がある場合

(三)事業者犯罪の疑いがあり、調査により明らかにされていない場合

(四)法律、法規又は規則で定める、廃業を申請することが不適切とされるその他の状況

第十七条 市司法局は、業務機関の設立、変更及び抹消登記に関する情報を公式サイト又は当市の公共法律サービスサイトその他の方法により公表しなければならない。

第十八条 外国仲裁機関が不正に業務機関の登録を行った場合、市司法局はその業務機関登録を取り消し、司法部に報告・届出を行わなければならない。

第十九条 業務機関とその責任者、又はその他の従業員が外国関連仲裁業務活動の過程で中国の法律、法規、規則及び本弁法の規定に違反した場合、市司法局は法律に基づいて処理し、又は関連部門へ移管しなければならない。

第二十条 国外仲裁機関は、中国(河北)自由貿易試験区の大興空港エリア(北京区域)で業務機関を設立する場合、本弁法を参照して執行するものとする。

第二十一条 本弁法は2021年1月1日より施行される。