政府活動報告
2020年1月12日北京市第15期人民代表大会第3回会議にて
北京市市長 陳吉寧
代表の皆様
ここに私は北京市人民政府を代表し、大会に向けて政府の活動報告を行い、審議を求めるとともに、市政治協商会議委員の皆様からもご意見を求めたいと思います。
一 2019年の活動の回顧
昨年、私たちは新中国成立70周年を盛大に祝いました。習近平総書記は北京を4回視察し、北京に対する重要談話を5回発表し、首都の業務に対する高度な重視と極めて大きな配慮を表し、新時代の首都の発展に関する新たな章を記していく上での方向性をさらに明確に示しました。
この一年間、習近平同志を核心とする党中央の強力な指導、中国共産党北京市委員会による直接的な指導、そして北京市人民代表大会及び同常務委員会による監督・支援の下で、私たちは習近平氏の新時代における中国の特色のある社会主義思想を指導内容とすることを堅持し、新中国成立70周年の祝賀行事に関するサービスと保障を重要な政治的課題及び市全体の活動の最優先事項とし、心を一つにして団結し、鍛え、磨き、奮い立って前進し、「四つの中心地」の機能の構築を大いに強化し、「四つのサービス」のレベルを向上させ、「三つの重要事項」をしっかりと把握し、「三大堅塁攻略戦」を戦い抜き、一連の大きな祝い事を成功させ、経済と社会の持続的かつ健全な発展を維持し、北京市第15期人民代表大会第2回会議で決定された目標任務を比較的順調に完了させました。
大筋の見通しとして、市内の各地区あたりの総生産は前年度比で約6.2%増加し、一般公共予算収入は0.5%増加していることが見込まれています。消費者物価指数は2.3%上昇し、都市部調査失業率は約4.4%を維持しており、市全体の住民一人あたりの可処分所得は実際に約6.3%増加しました。単位地区あたりの総生産については、エネルギー消費量が約4%減少、水使用量が約3%減少し、微小粒子状物質の年間平均濃度は42ミリグラム/立方メートルに低下しました。
(一)新中国成立70周年祝賀行事などの重要イベントのサービス・保障の役割を首尾良く完了
党中央委員会からの直接指導の下で、私たちは入念な計画・設計を行い、祝賀行事の実施におけるサービス・保障の役割を全面的かつ優れた形で完了させました。市民パレードと交歓イベントを総力を挙げて組織したことで、「心を一つに中国の夢を築こう」をテーマにした市民パレードは自由で生き生きとして、楽しく活気に満ちたものとなりました。また、交歓イベントは光と影のアートとハイテクをうまく活用したことで空前の盛況を収め、並外れた精彩を放つ催しとなりました。祝賀大会、閲兵式、市民の参加、安全と安定、環境整備、大気質、気象情報、市民の交歓など、総合的なサービス・保障の役割を高水準で完了させ、祝賀行事のために卓越した貢献を果たしました。
私たちは、2019年中国北京国際園芸博覧会を成功裏に開催しました。計110の国と国際機関が参加し、延べ約1000万人の来場者を集めたことで、展示規模が最大で、参加国が最も多い国際園芸イベントとなり、新時代における中国の生態文明建設のずば抜けて優れた成果を十分に示しました。
私たちは、さまざまな重要イベントのサービス・保障を統一的に調整し、第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラム、アジア文明対話大会、2019年FIBAバスケットボール・ワールドカップを首尾良く成功させ、国内外から高い評価と幅広い称賛を得ました。
私たちは、サービス・保障と都市の日常管理を組み合わせることを堅持して、都市の運営を円滑かつ秩序正しく行うために、衛生環境、交通、給水業務、電力、通信、ガスなどの保障業務に全力で取り組みました。天安門の楼閣及び城台の修繕を高い水準で完了させ、天安門の周辺、長安街沿線などの重点地区や、主要道路の景観のレイアウト及び環境改善に焦点を当て、市の外観をクリーンで美しいものにしました。全市民が主体となって積極的に参加し、道理を備え、大局を念頭に置き、新時代における首都の市民として良好な姿を示しました。重要イベントのサービス・保障の課題を首尾良く完了させ、私たちが首都で職責と使命を果たすための自信と決意はさらに強固なものとなり、世界に向けて、自信に満ちた、寛容で開かれた大国の首都のイメージを示し、首都が新たな歴史的出発点で奮い立って前進し続けるための、強靭な精神的原動力を注ぎました。
(二)新たな都市総合計画の徹底的な実施
首都計画の重要事項については、党中央委員会に事前には指示を仰ぎ、事後には報告するという制度が完全なものとなるよう取り組み、首都計画の権利の所在が党中央委員会にあることを確実に保証しました。また、新たな都市・農村計画条例を改定・実施し、生態制御ラインと都市開発境界管理弁法を公布し、戦略的用地保留、開発削減などの政策を制定したこと等により、都市・農村建設用地の規模は2年連続で減少し、年間削減量は約30平方キロメートルとなり、全労働生産性は26万元/人を超えました。さらに、2018年度の都市健康診断を実施し、15項目の指標について2020年の計画目標を前倒しで達成しました。
国土空間計画システムを整え、13区の土地区画計画及び亦荘新城計画が公布・実施され、28項目の市レベルの特別計画の編成が改善されました。首都機能のコアエリアの詳細な規制計画を高水準で編成し、長安街及びその延長線のクオリティ向上のための詳細な計画を完了させました。旧市街全体の保護計画を編成して完成させ、街区更新の「保障対保障」実施メカニズムを探り、雨児胡同「共生院」の改造を完了させ、菜市口西片区の申請形式の改善を開始しました。長城文化帯、西山永定河文化帯の保護・開発計画を実施し、大運河文化の保護・継承・利用のための実施計画と五カ年行動計画を公布し、香山革命記念地を一般公開しました。国際交流の中心地としての機能構築のための特別計画と行動計画を編成して完了させ、雁栖湖国際会都の向上計画を制定し、第四大使館区の詳細な規制計画と都市デザインを完成させ、国家会議センターの第二期建設プロジェクト、中国国際展覧センター新館の第二期・第三期建設プロジェクトなどの重点プロジェクトを着実に推進しました。また、麗澤金融商務区などの重点機能エリアの計画建設を徹底的に推進しました。
過去の事例を教訓にし、事例を用いて改革を促進し、天然資源分野における問題の整理・改革に断固として取り組みました。末端の土地関連の混乱した局面や腐敗の処理・整頓と、天然資源分野の内部の制約・監督に対する計画強化に関する二つの意見を実行することに力を入れ、天然資源国土空間計画の監察システム及び市・区レベルの重点計画プロジェクトの連携メカニズムを構築しました。特別巡視・巡察を契機に、各整理・改善の作業を段階ごとに実施しました。法律・規則に基づいて、浅山区(suburban hilly area。標高100-300メートルの低い山地・丘陵地域を指す。)の土地の違法占拠と違法建築、別荘の違法建設の整頓に焦点を当て、緑地建設・緑地管理の引受け制度、公園付帯住宅の賃貸及び「大棚房」問題の整理と改善を基本的に完成させました。
(三)北京市・天津市・河北省の協同発展に重大かつ画期的な進展
緩和・整備・都市のクオリティ向上促進の特別行動を徹底的に推進しました。一般製造企業399社を撤退させ、66の市場と物流センターの緩和と改善、違法建築物の取り壊し、5706ヘクタールの土地からの立ち退き、及び新規の違法建築物、地下空間の規則違反の居住、「散乱汚」企業、道路を占拠した経営などについての動的ゼロ化を基本的に実現しました。
北京口腔医院など8つの病院の新院エリアを建設し、北京電影学院など5つの市立大学を含む新キャンパスエリアの建設を加速させ、公共サービス資源をよりバランスよく配置しました。コアエリアの裏通りと路地の環境整備と改善については、3年間の行動任務が順調に終わりに近づき、1255件が市レベルの基準に達して合格し、検査を経て引き渡されました。「留白増緑(緑地スペースの確保)」により1686ヘクタールの土地の緑化が完了し、24の都市レジャーパーク、21の都市森林、60の「マイクロ緑地」と「ポケット公園」を建設し、エリア内の公園・緑地のサービス半径500メートルのカバー率は83%に達しました。コンビニエンスストア建設・改善三カ年行動計画を実施し、1190箇所のコンビニエンスストア商業ネットワーク拠点を精確に補充建設しました。「回天地区」の三カ年行動計画は段階的な成果を挙げ、回龍観から上地までの自転車専用道路が開通し、人民大学附属中学昌平学校と清華大学附属小学校天通苑キャンパスでは新入生の募集が開始され、回龍観体育文化公園北区を含む3つの文化・スポーツ施設の使用が始まりました。
副都心の枠組みが秩序正しく展開されました。副都心の詳細な規制計画が実施され、副都心の計画・設計ガイドラインが公布され、副都心管理委員会が設立されました。第一陣の市レベル機関の進出は落ち着いて行われ、行政オフィスエリアの第二期建設プロジェクトが開始されました。城市緑心森林公園では、8000ムー(約5.3平方キロメートル)の緑化造林と主な植栽が完了し、劇場、図書館、博物館の三大文化施設の建設が始まりました。副都心駅の総合交通ハブ、東六環路の地下化改造工事などのプロジェクトも始まり、地下鉄7号線が東側へ、地下鉄八通線が南側へ延伸されて開通しました。また、ユニバーサル・スタジオ・北京の第一期建設は施設導入段階に入りました。副都心における旧市街の二重修繕を制定し、三カ年行動計画を更新して、古いコミュニティ(社区)の規範化された管理と総合的な改造を分類して推進しました。北京大学人民医院通州院区は基本的に完成し、黄城根小学校通州キャンパスと北京学校小学部が開校して新入生を募集しました。また、廊坊市北部の3つの県(三河市、大廠回族自治県、香河県)との協同発展は着実に推進され、燕潮大橋が竣工・開通し、52の共同プロジェクトが順調に進んでいます。
協同発展重点領域における任務の実施が加速しました。北京大興国際空港が竣工し、運営が開始され、大興空港高速道路や地下鉄大興空港線なども同時に操業を開始したことで、北京の航空交通は「デュアルハブ(2重拠点)」時代に突入しました。また、大興国際空港の空港経済区の全体計画が実施され、自由貿易区が正式に発足しました。
河北省雄安新区の建設を全面的に支援し、京雄都市間鉄道の北京区間が開業し、北京市が建設を支援する品質に優れた学校3校と、高水準の病院1軒の工事がいずれも始まりました。生態環境の協同改善の効果は明らかであり、黄河の水が初めて北京に入り、40年ぶりに永定河の山峡区間の川が途切れることなく流れました。北京市から天津市及び河北省への技術移転契約の取引額は282億8000万元で、24.4%増加しました。
北京冬季オリンピックと冬季パラリンピックの準備は順調に進んでいます。京張高速鉄道の開業によって、冬季オリンピック関連施設の建設の新たな進展が示されました。京礼高速道路の北京区間の建設が完了し、国家速滑館(スピードスケート館)の全貌が公開され、首鋼滑雪大跳台(スキージャンプ台)の工事が完了し、国家アルペンスキーセンターのレーストラックはテストマッチの要件を満たしたほか、「相約北京」シリーズ冬季スポーツイベント組織委員会が設置され、さまざまなイベントの組織及びサービス・保障が秩序正しく推進されています。冬季オリンピックのマスコットが公開され、本番までの1000日カウントダウンイベントが開催され、冬季オリンピックのドキュメンタリーチャンネルが開設されたほか、世界のボランティアの募集が始まりました。また、「科学技術冬季オリンピック」行動計画が実施され、スマートな会場の改修、クラウド中継放送などのモデルプロジェクトが立ち上げられ、北京冬季オリンピック遺産戦略計画が発表されました。さらに、第4回国際冬季運動博覧会(ウインタースポーツの国際博覧会)が開催され、「楽しい氷と雪の季節」などのイベントが組織され、冬季オリンピックムードは高まり続けています。
(四)全国科学技術イノベーションの中心地としての建設が全面的に加速
イノベーションのためのエコシステムの最適化を巡って、新時代の科学技術システム改革を深化させるための30条の政策措置が公布・実施され、科学技術奨励弁法の改訂と、科学技術成果転換促進条例の公布推進が行われたほか、科学研究者が長い間待ち望んでいた科学技術成果の所有権改革などが制度的なブレークスルーを実現しました。基礎研究と最先端研究の系統的な配置によって、量子情報科学研究院では超伝導量子コンピューティングなどの重要な研究が始まり、脳科学・類脳研究センターは第一期建設が完了して運用が開始され、智源人工智能研究院は「智源学者計画」を実施して人工知能に関する北京コンセンサスを発表し、科学技術革新基金はハードテクノロジーと初期のイノベーションに投資するための33のサブファンドを設立しました。市全体の研究開発投資強度は約6%に達し、技術契約の取引額は約5700億元になり、発明特許の認定件数は13.1%増加しました。
「三城一区」の主要なプラットフォームの建設に新たな進展がありました。中関村科学城では海淀イノベーション発展16箇条を徹底的に実施し、企業に対するイノベーションサービスを強化し、イノベーションのためのエコシステムと都市イノベーションの形態を継続的に改善し、世界で最初の脳型チップ、中国で最初の海外で承認された抗がん剤の新薬など、画期的な科学技術の成果が現れました。懐柔科学城総合性国家科学センターの建設が加速し、科学城計画が発表・実施され、5大科学施設すべての工事が始まりました。第一陣の学際的研究プラットフォームは設備設置・調整の段階に入り、科学教育インフラと第二陣の学際的研究プラットフォームが承認され、集中的に建設が始まり、国家科学センター国際協力連盟が正式に成立しました。未来科学城の東区では中央企業のイノベーション要素の集約効果が徐々に現れてきており、数多くのイノベーション支援施設が設置され、「混合型」の研究開発パターンが形成されつつあります。また、西区の深化と沙河高教園の科学と教育の融合により、中関村生命科学パークの第三期計画・建設が促進されました。北京経済技術開発区では区の拡張が完了し、管理システムと運営メカニズムが改革され、質の高い発展を促進するための20の重点任務が明確化されました。バリアン研究センター、アストラゼネカ北部本社などの外資プロジェクトが立ち上げられ、開放的で革新的な産業クラスターの形成が加速しています。中関村モデル区では先行して試験に力を入れており、主要ビジネスにスポットを当て、特徴的な差別化された発展を実現すべく各サブパークをリードし、22箇所のハードテクノロジーインキュベーターを重点的に建設し、100点以上の新技術・新製品を初公開し、科学技術型企業の育成強化に力を入れ、企業の研究開発投資は約16%増加しました。モデル区における企業の総収入は約6兆5000億元に達し、10%以上増加しました。市全体にはユニコーン企業が82社あり、これは全国最多です。さらに、中関村フォーラムを成功裏に開催し、より積極的な姿勢で世界のイノベーションネットワークに溶け込むことに成功しました。
市全体における「高精尖(ハイレベル・精密・先端的)」産業発展のためのトップレベルデザイン、組織と実施を強化し、各区における発展の重点を細分化・明確化し、市レベルでの統括と配置を強化して、メルセデスベンツの新エネルギー自動車や、燕東集積回路生産ライン、小米(シャオミ)未来工場、国家ネットワーク安全産業パークなど、複数の重点プロジェクトが立ち上げられ、実施されました。「高精尖」産業開発を支援するための人材政策が実施され、3500人以上の人材が導入され、定住しました。応用シーンの構築が加速し、第一陣として10項目の重要な応用シーン及び20項目の中央企業の応用シーンのプロジェクトが発表されました。
新世代の情報技術と医薬・健康を導きとし、「高精尖」産業発展の新たな原動力を形作りました。5G通信の商用化の歩みが加速し、世界園芸博覧会、FIBAバスケットボール・ワールドカップ期間中には「5G+8K」の超高画質動画中継放送を実現しました。ICV(インテリジェントコネクテッドビークル、スマートネット接続車)の革新的な開発のための行動計画を実施し、合計503キロメートルの試験道路が開通し、試験走行の総距離は104万キロメートルに達しました。産業チェーン全体において医薬・健康産業システムを配置し、5つの実証研究型病棟の建設が開始され、専門的なインキュベーターが建設され、サードパーティーの技術サービス、中間的試験サービス及びOEM生産サービスなどのプラットフォームの構築を支援し、革新的な品種の産業化における用地への需要に完全に対応しています。人工知能と医薬・健康の融合的な発展を促進するための事業計画を発表し、「AI+健康」の新興産業の育成に重点を置いています。革新的な医療機器の応用と普及を支援し、革新的な医療機器の承認件数は全国で第一位となっています。
中関村生命科学パークは、専門的で市場志向かつ国際化された運営サービス会社を導入し、産業振興能力を大幅に向上させました。市全体における一定規模以上のハイテク製造業と医薬品製造業の付加価値の成長率はいずれも市全体の産業平均レベルを上回っています。
(本文章は中国語の原文に基づいています。日本語を含む他言語の翻訳はあくまで参考の為のものであり、言語間で内容に差異があった場合は中国語の原文が基準となります。)