一.特徴
この「若干の措置」は、北京市の国際科学技術イノベーションセンターの構築に寄与するもので、以下3つの側面の特徴を際立たせている。
第一に、金融機関による製品とサービスの革新を促進することに重点を置いている。科学技術イノベーション企業の融資における課題や難点に対し、金融機関が科学技術イノベーション企業に関するベンチャーキャピタル、銀行融資、上場融資などの全段階をカバーする金融サービスを提供するよう奨励し導き、市場ニーズによって革新的資源の効果的な配分を導くとしている。
第二に、政府による科学技術イノベーション企業への指導と支援を強調している。科学技術イノベーション企業の実際のニーズに沿って、政策の「サービスパッケージ」を入念に設計し、科学技術イノベーション金融における政府・銀行・企業間の連携メカニズムを深化させるとしている。また、政府系投資基金の牽引的役割を強化し、政府系融資保証機関のサービス能力を高め、企業が知的財産権担保融資や科学技術保険などのサービスを獲得することを支援し、政策メカニズムの面から科学技術イノベーション企業の発展を導き、支援することに力を入れるとしている。
第三に、企業の研究開発・革新能力のブレイクスルーを支援することに焦点を当てている。企業の研究開発革新において喫緊に必要な金融支援策に着眼し、政策企画を強化するとしている。また、革新能力のブレイクスルーによって、企業の総合的実力の全面的飛躍を牽引するほか、社会資本が早期段階・小規模企業に投資することを導き、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタルなどによる投資先企業へのサービスメカニズムを確立し、企業のコア技術革新における難関攻略の展開を支援する金融の役割を発揮させ、企業の革新実力と中核的競争力を絶えず向上させるとしている。
二.概要
この「若干の措置」は、7方面28項目の措置からなり、概要は以下の通りである。
第一に、製品革新のメカニズムを確立し、「牽引・向上」効果を発揮させるとしている。これには、科学技術イノベーション企業への融資投入の拡大、株式・債券連動モデル革新の推進、通貨政策手段の十分な活用、資産管理商品の革新、科学技術保険商品システムの整備、知的財産権証券化の探索・実施、科学技術イノベーション企業の債券市場活用による資金調達の奨励などが含まれる。
第二に、上場支援メカニズムを確立し、「資本エンジン」の効果を発揮させるとしている。これには、企業上場育成の強化、北京証券取引所の模範的・牽引的役割の発揮、上場資金の補助・支援強化などが含まれる。
第三に、投資先企業サービスメカニズムを確立し、「レバレッジ効果」を発揮させるとしている。これには、エンジェル投資とベンチャーキャピタルの積極的育成、投資先企業へのサービス強化、投資効果が良好な長期資本へのリスク補助の付与、政府系投資基金の牽引的役割の強化などが含まれる。
第四に、評価インセンティブメカニズムを確立し、「的を絞った牽引」効果を発揮させるとしている。これには、科学技術イノベーション融資を取り巻くビジネス環境の最適化、企業の知的財産権担保融資の獲得に対する支援、企業の科学技術保険サービスの獲得に対する支援、政府系融資保証機関のサービス能力の強化などが含まれる。
第五に、リスク補償メカニズムを確立し、「協調し共に担当する」効果を発揮させるとしている。これには、知的財産権担保融資へのリスク補償の付与、保証代位弁済・補償資金の使用効率の向上などが含まれる。
第六に、調整マッチングメカニズムを確立し、「制度的保障」効果を発揮させるとしている。これには、科学技術イノベーション人材サービス保障の強化、科学技術イノベーション金融における政府・銀行・企業連携メカニズムの深化、業界・分野・階層を跨ぐ情報連携メカニズムの構築などが含まれる。
第七に、先行・試行メカニズムを確立し、「模範的サンプル」効果を発揮させるとしている。これには、海淀区での科学技術イノベーション金融サービスセンターの設立に対する支援、海淀区の全国ベンチャーキャピタルセンターとしての構築支援、中関村の科学技術イノベーション企業に対するクロスボーダー融資支援の更なる強化、科学技術融資商品への支援の更なる強化、上場・公開資金補助に対する支援の更なる強化などが含まれる。