北京市人民代表大会常務委員会による「『北京市人口・計画出産条例』の改正に関する決定」が2021年11月26日に公布・実施され、関連公告は北京市の行政区域内で法的効力を持つ。社会保障と労働法の専門家である金暁蓮氏が「条例」の実施について、市民が関心を寄せる質問に回答した。
「条例」に規定された休暇の種類とその適用範囲
「条例」では、婚姻登記をした夫婦に付与される国が定める結婚休暇に加え、7日間の休暇が追加された。女性労働者が規定に従って出産した場合、国が定める出産休暇に加え、60日間の出産延長休暇延長を享受でき、男性側は15日間の出産休暇を享受できる。また、子供が満3歳になるまで、夫婦はそれぞれ年間5労働日の育児休暇の取得が可能となる。一人っ子の親介護が必要とする場合、一人っ子労働者は年間10労働日の介護休暇の取得が可能となる。
「条例」に規定された各種休暇は北京市の行政区域内のあらゆる性質の機関・事業者に適用される。中央および北京市の各級の機関と公務員との間、政府系事業組織と勤務する職員との間のみならず、雇用関係が成立している雇用主と労働者との間において規定に適合する出産にも適用される。
女性側の出産休暇
1. 構成
女性の出産に伴う休暇は3つの段階に分かれる。
第一段階は出産休暇で、「女性労働者の労働保護に関する特別規定」に規定されているものである。女性労働者が自然分娩の場合は98日間の出産休暇、難産の場合に追加される15日間の出産休暇、多産分娩の場合に追加される出産休暇などが含まれる。
第二段階は「条例」に規定された出産休暇の延長である。2016年の「条例」改正時に30日間追加されたが、今回の改正により従来の30日間から60日間となった。
第三段階は2016年の「条例」改正時に追加され、今回の「条例」においても引き続き規定される追加休暇である。女性側は雇用主の同意により、さらに1~3カ月の休暇を取得できる。この休暇は、雇用主が直接女性労働者に取得させるよう規定することができ、または雇用主と女性労働者が協議した上で取得することもできる。ここでいう日間は暦日を指す。出産休暇は原則として継続的とする。
2.待遇
第一段階の出産休暇における女性労働者の出産手当は、その女性が出産保険に加入している場合、雇用主の従業員前年度平均月給の基準で医療保険基金から支払われる。出産保険に加入していない場合、出産手当は出産休暇前の女性労働者の給与基準に応じて雇用主から支払われる。
女性労働者が第二段階の出産休暇の延長期間に当たり、かつ出産保険に加入している場合、従来の30日分の出産手当は出産手当と同じ基準で医療保険基金から支給される。
出産延長休暇場合の残り30日間分の出産手当は、医療保険部門から通知が発表される前には、出産手当に準じて各雇用主が支給することができる。女性労働者は第三段階の追加休暇における給与待遇について、雇用主と交渉することができる。雇用主は当市の最低賃金の80%を下回らない待遇を支払うことを推奨する。
3. 出産休暇を延長することは可能か
今回の条例改正では、2016年に規定された出産奨励休暇を廃止し、これに併せて出産休暇の延長を定めるとともに、その期間も30日間から60日間までに延長した。条例の施行日は2021年11月26日である。従って、2021年11月24日24時以前に女性労働者の休暇が終了した場合、追加された出産休暇の延長分を取得することはできない。2021年11月25日0時以降に女性労働者の休暇が終了した場合は、追加出産休暇を取得できる。
4. 男性側への休暇の付与は可能か
女性側が夫婦双方の雇用主の同意のもと、任意で出産休暇の延長日数を短縮した場合、男性側が享受する出産休暇はそれに応じた日数分増やすことができる。雇用主は休暇管理制度の改正・整備を行い、双方の雇用主が発行した証明書などにより、夫婦間の休暇配分を調整することも一案である。
男性側の育児休業制度
1. 日数
15日とは、ここでも暦日を意味し、通常連続して享受すべきである。
2. 待遇
男性側の育児休業期間中、雇用主はその男性を解雇したり、労働または雇用契約を解除したり、給与を減額したりしてはならない。男性労働者の出産休暇期間中は出勤とみなされ、雇用主は法律に基基づき労働報酬を支払うものとする。
3. 女性側への休暇の付与は可能か
出産休暇は、妻の出産前後に夫が妻と新生児の世話をすることを奨励する目的で設けられたものであるため、この休暇は男性側のみが享受でき、男性側が享受しない場合でも女性側に引き継ぐことはできない。
育児休暇
1. 日数
条例では、規定に適合する夫婦に対し、子供が満3歳に達するまで、1人につき年間5労働日の育児休暇付与が定められた。
育児休暇は連続してまたは期間を分けて取得することが可能である。3歳未満の子供の人数に応じて、休暇日数が加算される。例えば、夫婦に3歳未満の子供2人がいる場合、年間10労働日の育児休暇をそれぞれ取得することができる。夫婦に3歳未満の子供3人がいる場合は、年間15労働日の育児休暇をそれぞれ取得することができる。
2. 計算方法
育児休暇は暦年ではなく、子供の満年齢の誕生日を基準に毎年計算される。満年齢をどのように計算するかについては、「民法典」の原則に基づき、通常出生後毎年の子供の誕生日を満年齢に達する日だと理解される。夫婦は子供が満3歳に達するまで、満年齢1歳ごとに年間5労働日の育児休暇をそれぞれ取得することができる。育児休暇を当年度に取得しなかった場合、通常、翌年度に引き継がれることはない。
例えば、子供が2021年6月1日に生まれた場合、夫婦はそれぞれ2021年6月1日から2022年5月31日までの間に5労働日、2022年6月1日から2023年5月31日までの間に5労働日、2023年6月1日から2024年5月31日までの間に5労働日の育児休暇を取得する権利を有する。
3. 待遇
育児休暇期間は出勤扱いとなり、待遇は出勤時の基準で雇用主によって支給される。
4. 夫婦間の休暇配分
夫婦が育児休暇の配分を調整したい場合は、それぞれの雇用主に相談し、雇用主の同意を得た上で、育児休暇の配分を調整することができる。ただし、夫婦双方の育児休暇の合計取得日数が10労働日を超えないことが条件とされる。雇用主は休暇管理制度の改正・整備を行い、双方の雇用主が発行した証明書等により、夫婦間の休暇配分を調整することも一案である。
介護休暇
1. 日数
一人っ子の親が介護を必要とする場合、その一人っ子は連続してまたは期間を分けて、年間合計10労働日を超えない範囲で介護休暇を取得することができる。ここでの年間は暦年を指す。
2. 待遇
介護休暇期間は出勤扱いとなり、待遇は出勤時の基準で雇用主によって支給される。
3. 夫婦間の休暇配分の調整は可能か
介護休暇は親が介護を必要とする一人っ子に与えられるもので、配偶者間で休暇配分を調整することはできない。
4. 介護の必要性はどのように認定されるか
医療機関が発行する診断書、入院証明書、関係部門による要介護評価結果などを認定の根拠とする。具体的には雇用主が休暇管理制度の改正・整備を通じて認定する。
5. 一人っ子の認定基準は?
一人っ子とは、国が一組の夫婦に一人の子供を出産することを提唱していた期間(つまり2015年12月31日以前)に夫婦のもとに生まれた、または法的に養子となった生存する唯一の子供、つまり同父同母、同父異母、同母異父の兄弟姉妹がいない、または兄弟姉妹がいたが2015年12月31日以前に兄弟姉妹が亡くなった者と定義される。
子供が一人しかいない夫婦が離婚し、その子供が双方の合意または裁判所の決定によりどちらかに養育され、長期間共同生活している場合、扶養者に他の子供はいないが、非扶養者に他の子供がいる場合において、扶養者の介護を申請する際、その子供は一人っ子とみなされる。継父(母)が継子と養育・教育関係を結び、実子がおらず、継子が一人っ子の場合は、継父(母)の介護休暇を申請することができる。介護休暇の取得に当たって、「一人っ子両親光栄証」を提示する必要はなく、雇用主は個人記録、履歴書、承諾書などにより一人っ子であることを認定することができる。
労働組合または労働者の協議代表者が雇用主と休暇取得について交渉する場合の具体的な実施方法
「条例」で法定結婚休暇以外の休暇、法定出産休暇以外の出産休暇、育児休暇および介護休暇の日数、待遇について規定される場合、雇用主は関連規定を実施し、労働者の合法的権益を制限してはならず、条例の規定は雇用主の休暇実施における最低基準となる。
雇用主は労働者の仕事と家庭との両立に資するべく、休暇実施日数、待遇、方法について、行政部門に相談し、または助言を求めることなく、より柔軟で臨機応変な方法を取ることを推奨する。
(情報提供:北京日報アプリ)
(本文章は中国語の原文に基づいています。日本語を含む他言語の翻訳はあくまで参考の為のものであり、言語間で内容に差異があった場合は中国語の原文が基準となります。)