第一条 海外高度人材の招致にあたり、科学的発展観に基づき、労働・知識・人材・創造を尊重する方針を貫き、長期的な視野を持ち、重点を指向し、実用性を本とし、ケースバイケースを心掛け、統合的に実施する業務原則を堅持し、海外高度人材の北京における起業と就労を積極的に支援する。
第二条 招致する海外高度人材は、原則上55歳以下、海外で博士号を取得し、採用後は毎年6ヶ月以上北京で勤務することを約束し、かつ以下のいずれかの要件を満たす者とする。
(一)海外の有名な高等教育機関や研究機関で、副教授、副研究員と同等以上の職階にある専門家若しくは学者
(二)国際的に有名な企業、金融機関、弁護士(会計、監査)事務所で上級技術職のポストにつき、関連分野の業務と国際ルールを熟知し、豊富な実践経験を持つ管理人材若しくは研究開発技術人材
(三)国際組織、外国政府機関、有名な非政府組織で中上級管理職につく専門家若しくは学者
(四)国際的な大規模な科学研究や工学プロジェクトを指揮し、豊富な科学研究や工学技術経験を持つ専門家、学者若しくはエンジニア
(五)北京市の重点的に発展させる産業・事業・分野に必要な自主的な知的所有権又はコア技術を有する専門技術者
(六)首都の文化クリエイティブ産業の発展に必要な優秀人材
(七)潜在能力が高いと認められ、専門分野において活躍している優秀なポストドクター
その他の不足しており、早急に必要とされる海外高度人材については、ケースバイケースで招致を検討する。
第三条 海外高度人材の招致方法については、コア人材招致、チーム招致、ハイテクノロジープロジェクト開発による受け入れのほかに、ポスト雇用、プロジェクト雇用や選任などの採用方式も認められる。
第四条 海外高度人材の招致手順は以下の通りである。
(一)招致要件に合致する高度人材は自己推薦、相互推薦、あるいは在外公館、華人華僑団体、留学生団体、高等教育機関、専門団体協会、各種の産業園(科学技術企業インキュベーター、留学帰国者起業園、大学科学技術園、工業園などを含む)及び国内外の専門家や学者の推薦などを通し、北京海外学人センターに申請する。北京海外学人センターと市の関係部門が共同で受け入れ先企業に推薦する。
市人民政府外事弁公室、市人民政府僑務弁公室などの部門は海外での連絡、宣伝、推薦及び紹介の役割を果たす。北京海外学人センターは在外公館、華人華僑団体、留学生団体、海外連絡事務所、海外大学及び各専門団体協会などのルートを通して、積極的に海外高度人材を募り、市の関係部門と共同で受け入れ先企業に推薦する。
受け入れ先企業は必要に応じて人選を行い、初期段階の交渉を経て双方が合意に達した後、北京海外学人センターに申告する。
(二)北京海外学生センターは招致予定の海外高度人材を評価し、認定意見を出した後、北京市海外学人業務連席会に報告して審査してもらう。
(三)北京市海外学人業務連席会の承認を経て、北京海外学人センターが受け入れ先企業に通知し、海外高度人材に「北京市海外高度人材就労居留証」を発行し、専門的なサポートを提供する。
(四)受け入れ先企業は北京海外学人センターの意見に基づき、認定・審査を経た海外高度人材に対し、関連政策を積極的に実施する。法に基づき、採用した人材と雇用(労働)契約を結び、市人的資源と社会保障局に招致手続きを依頼する。
第五条 海外高度人材が北京において起業する場合、「北京市海外高度人材就労居留証」を以て留学帰国者起業園の優遇政策やその他の優遇措置を享受することができ、会社登記、土地使用、工商、税務、商品検査などの面で便利なサービスを受けることができる。企業、高等教育機関、科学研究機関、経済開発区又は高新技術産業園での「海外高度人材イノベーション・起業基地」の設立を奨励・支援する同時に、産・学・研(産業・大学・研究機関)の緊密な連携を推進し、海外高度人材を北京に招致するための起業プラットフォームを提供し、海外高度人材とチームを北京に集積する。
第六条 海外高度人材が北京において起業し、北京海外学人センターの審査を通った場合、市レベルの財政からの補助金をもらうことができ(1回のみ)、市政府の各種の起業投資誘導ファンドによる支援を優先的に受けることができる。北京海外学人センターは国家レベル及び市レベルの科学研究と産業化プロジェクトへの資金サポートの申請に推薦する。既存の資源を統合し、社会資源が多元的な投融資プラットフォームを形成するように導き、ベンチャー企業に安定した発展資金サポートを提供する。投資と担保の「便宜を図るルート」を通じて、担保費の補助金と担保ローン利息の補助金を提供する。
第七条 海外高度人材が設立したベンチャー企業が国内外の資本市場に上場することを支援し、上場において発生する関連費用の一部を補助する。
第八条 海外高度人材が中関村科技園で企業を設立した場合、国家が中関村科技園での国家自主的イノベーションモデル区の建設を支援するための関連税優遇措置、産業政策、政府の調達政策及びフィンテック改革・イノベーション試行政策を享受する。
第九条 企業による国内外における特許申請、国内外における特許権取得、ソフトウエア著作権登録、商標登録及び著名商標の創出などの活動を奨励する。技術基準制定(修正)作業を展開する企業に対して、「北京市技術標準制定(修正)特別補助資金管理弁法」の規定に基づき、資金支援を行う。
第十条 海外高度人材起業インキュベーターの建設を奨励し、海外高度人材が設立ベンチャー企業の集積と発展を促進する。サービスサポートシステムの構築、オフィス賃貸料の補助などを通じて、インキュベーターへの支援を強化し、海外高度人材が北京で起業するための良好なサービス環境を構築する。
第十一条 北京で就労する海外高度人材に対して、下記の労働条件とプラットフォームによるサポートを与える。
(一)市の所属高等教育機関・研究院、国有企業及び国有金融機関の中級以上の管理職(外国籍者が法人代表を務める場合を除く)又は上級専門技術職につくことが許される。
(二)北京市の重点科学研究プロジェクトに参加し、重要な科学研究計画の責任者を務めることが許される。関連要件を満たす場合、政府の専門家顧問として雇われ、政策の諮問・制定・実施に参与することが許される。ただし、国家安全に関わる場合は、別途承認を受けなければならない。
(三)プロジェクト又は計画の責任者を務める場合、所定の職責権限の範囲内では、人件費を含む研究経費の使途を決め、関連規定に基づいてプロジェクトの研究内容やロードマップを調整する権限が与えられる。また、チームメンバーの採用を決めることが認められ、採用人員に協議賃金制が適用され、所属先の人員配置や研究経費のコスト比による制限の適用が免除される。
(四)中関村科技園区にある高等教育機関、科学研究院、企業等の機関に招聘され、国家科学技術重大特別プロジェクト(課題)を担当する場合、国家科学技術重大特別プロジェクト(課題)経費の一部を間接費用とすることを審議して決定する権限が認められる。この間接費用には主に当該プロジェクト(課題)を引き受けた機関がプロジェクト(課題)を実施する過程で発生した管理・調整・監督費用及び直接費用に計上することができない費用が含まれる。
(五)科学研究又は生産経営活動を展開するにあたり、関係部門に科学技術資金、産業発展支援資金等を申請することができる。関係部門は手続きを簡略化し、優先的にその申請を処理する。また、必要に応じて、関係部門は特別なプロジェクトの形式で支援する。
(六)人材招致の主導機関は財政などの関係部門と連携し、財政資金を通して招致された人材に安定した科学研究経費支援を提供する。
(七)関係部門は招致された人材の本市の重要プロジェクトの諮問・論証、重大研究計画と重点工事建設などの業務への参画を重視する。
(八)国際的な慣例に基づいて、高度人材の業績を評価し、相対評価などの審査方式を採用する。複数の評価機関による重複評価又は頻繁な審査を避ける。
(九)招致された人材を国内の各種の学術組織の入会、中国科学院院士(外国籍院士)、中国工程院院士(外国籍院士)の選考に推薦することが認められる。
第十二条 海外高度人材が専門知識、技術特許、研究成果(協力及び委託などの研究開発方式で取得したものを含む)などにおいて享有する知的財産権を保障し、取得した発明特許に対して補助金を与える。
第十三条 海外高度人材が北京で就労する場合、受け入れ先企業の規則によって定められた正規雇用枠や専門職の割合などの制限の適用が免除される。定員が満たされており、正規雇用枠としての採用が難しい場合、定員管理部門の同意を得た上で、まず招致された人材を受け入れ、定員に空きが生じた後、欠員を補充させる。海外高度人材に専門技術職務に就く要望がある場合、受け入れ先企業は状況に応じて、採用を決めることが認められる。
第十四条 海外高度人材が北京で起業・就労する際の給与・待遇について、受け入れ先企業は招致された人材が北京に来る前の所得水準を参考にし、住宅(賃貸住宅)の補助金、子女の教育補助金、配偶者の生活補助金などを考慮に入れ、当人の能力と貢献に応じ、協議したうえで適切な報酬を設定する。中関村科技園内の高等教育機関、科学研究院、国有高新技術企業に招聘され、優れた功績を出した海外高度人材は、財政部、科学技術部の関連規定に基づき、オプション取引、技術株式投資、配当権など様々な形の奨励を受けることができる。
第十五条 外国のパスポートを所有して入国する海外高度人材(配偶者及び未成年の子女を含む)には、実際の状況に応じて有効期限が2~5年で、数次出入国が可能であるFビザ(パスポートの有効期間内)を発行することができる。本市に常住する者には、実際の状況に応じて有効期限が2~5年である外国人居留許可証(パスポートの有効期間内)の申請が認められる。永住許可条件に合致する者は、外国人永住許可の申請が認められる。北京での就労により外国籍を放棄し、中国国籍の取得を希望する場合、あるいは中国国籍の回復を希望する場合は、公安機関が「中華人民共和国国籍法」の関連規定に従い、優先的に申請を受理する。
第十六条 中国のパスポートを持つ海外高度人材(その配偶者及び未成年の子女を含む)が本市の常住戸籍を取得することを希望する場合、出国前の戸籍所在地の制限を受けることなく、関連規定に従い、手続きを簡素化し、入居手続きを優先的に行うことができる。
第十七条 海外高度人材の北京における起業・就労にあたり、北京市政府は、招致された人材に1人当たり100万人民元の奨励金を一括で給付する。受け入れ先企業や関係部門と区・県は招致された人材の労働・生活条件改善のために使用される必要な資金を用意する。
第十八条 市衛生行政部門は、条件に合致する公立病院を海外高度人材の指定医療機関とし、海外高度人材に良質の医療サービスを提供する。招致された人材が北京で不自由なく医療サービスを受けられるように、条件に合致する医療機関と国内外の保険会社との商業医療保険の面での協力を奨励する。
第十九条 海外高度人材とその配偶者・子女は、本人の意思により本市の各種の社会保険に加入することができ、納付年限は実際に各種の社会保険料を納付した年限に準じる。保険納付方法、中国国内での社会保険関係の移転・継続、各種の社会保険待遇の享受では、本市市民と同等の権利を有する。受け入れ先企業は招致された人材のために各種の社会保険の加入手続きを済ませた上で、招致された人材のために商業追加保険の加入手続きを行うことが認められる。
第二十条 海外高度人材が北京での起業・就労にあたり、住宅購入を希望する場合、本市市民の住宅購入政策に基づき、自らが利用する分譲住宅を購入することが許される。招致された人材は自らが利用する住宅を購入していない場合、雇用(労働)契約期間内、受け入れ先企業は招致された人材のために当人の生活と仕事に便利な住宅を賃借するか、相応の住宅補助金を提供する必要がある。
第二十一条 北京で起業・就労する海外高度人材に対して、雇用期間内に、招致された人材の地方財政収入に対する貢献に基づき、市政府名義で褒賞を与える。招致された人材は海外から自家用車(オートバイ、セダン、オフロード車、乗車定員9人以下の乗用車に限る)を1台持ち込み、税関による関税徴収後、中国国内での利用が認められる。科学研究と教育材料の国内への持ち込みについては、数が少量である場合、輸入税が免除される。入国の際に持ち込んだ数量が適切な個人私用目的の生活用品については、現行の政策規定に従って判断し、執行する。
第二十二条 海外高度人材による北京での起業・就労にあたり、同行する配偶者が本市での就職を希望する場合、受け入れ先企業が適切に対応する。当分はその要望に応えられない場合、受け入れ先企業は自社従業員の平均給与に基づき適切な形で生活手当を支給する。
第二十三条 海外高度人材による北京での起業・就労にあたり、その子女は国籍を問わず、本市の公立学校に入学することができる。教育行政部門はその入学手続きが円滑に進むように協調する。中国籍の子女は一般の大学入学試験の受験資格が認められ、本市に所属する大学に出願する場合、同じ条件下では入学が優先的に承認される。外国籍の子女は外国留学生の受け入れに関する規定に基づき、大学に出願する。
第二十四条 海外高度人材が北京で起業・就労し、北京に際立った貢献をし、規定条件を満たした場合は、「首都傑出人材賞」と「北京市に突出した貢献をもたらした科学、技術、管理人材」などの表彰を申し込むことが認められる。
第二十五条 市の関係部門は「北京市産業構造調整指導目録」及び関連産業発展計画に基づき、北京市の海外高度人材重点招致目録を定期的に公開発表し、適宜に受け入れ先企業の高度人材に対するニーズを公開する。
第二十六条 北京海外学人センターは、全市統一海外高度人材情報データベースを構築し、資源の共有を実現し、人材選抜のための支援を行う。招致された人材を市委員会・市政府が連絡する専門家リストに登録し、日常連絡とサービス方法を設定し、コミュニケーション・フィードバックメカニズムを確立し、招致された人材の仕事・生活に関する問題を解決する。
第二十七条 受け入れ先企業は、事業発展の必要に応じて、人材チームの構成を絶えず改善し、海外高度人材を積極的に受け入れる。国家の法律・法規に基づき、採用した海外高度人材と雇用契約を結び、双方の権利と義務を明確にし、労働条件とプラットフォームを提供する。海外高度人材の考えや生活に配慮し、その仕事や生活に支障がないよう積極的に問題解決へ取り組む。
第二十八条 中央政府の要請に応じ、中央政府の「千人計画」を積極的にサポートし、関連措置の実施に徹する。市に所属する各機関は専門家の特別招聘、プロジェクトコンサルティング、講演フォーラムなどの形式を用いて海外高度人材という資源を有効に活用する。
第二十九条 招致された人材が、個人的な理由により雇用(労働)契約又は関連協議の履行義務を果たさなかった場合、受け入れ先企業は北京海外学人センターに事情を説明し、センターの介入審査を経て、その人材が受ける関連する優遇を取り消す。
第三十条 本則は公布の日から施行する。施行中に生じる関連問題は北京市人材事業指導チーム弁公室が協調・解決の責任を担う。これより前に公布された「北京市人民政府弁公庁による海外高度留学人材の北京での起業へのさらなる奨励に対する意見の通達」(京政弁発〔2007〕44号)は本則の施行の日より廃止される。
中国語の原文:http://www.gqb.gov.cn/news/2009/0527/1/14132.shtml
(本文章は中国語の原文に基づいています。日本語を含む他言語の翻訳はあくまで参考の為のものであり、言語間で内容に差異があった場合は中国語の原文が基準となります。)