第一章 総則

第一条 北京の「四つの中心地」戦略的位置づけに奉仕し、北京地区における高等教育機関の国際学生募集・教育・管理のより一層の規範化を目指し、教育の面での対外交流と協力を増進し、首都の教育の国際化レベルを向上させるため、「中華人民共和国教育法」「中華人民共和国出国入国管理法」「教育機関の国際学生募集・教育に関する管理弁法」(教育部、外交部、公安部令第42号)等の法律・法規に基づき、本市の実情を踏まえ、特別に本弁法(規則)を制定した。

第二条 本弁法における「高等教育機関」とは、北京市の行政区域内にあり、教育行政部門による正式な認可の上で設立され、高等教育を実施する学校のことである。本弁法における「国際学生」とは、「中華人民共和国国籍法」に基づき、中国国籍を有せず、高等教育機関で教育を受けている外国人学生のことである。

第三条 高等教育機関は国際学生の募集と教育を行う際、中国の法律・法規と国家政策を遵守し、国家主権、安全及び社会公共利益を守り、法に基づく管理、規範化された管理を行い、質を保証しなければならない。

第四条 北京市教育委員会(以下、市教委と略す)は、北京市の行政区域内の高等教育機関の国際学生に関する業務を指導・調整・管理する。

北京市人民政府外事弁公室(以下、市外弁と略す)と北京市公安局(以下、市公安局と略す)は、各々の職責に応じて業務を分担し、国際学生関連の管理業務を遂行する。市外弁は国際学生関連の渉外業務管理を調整し、外国人留学者入国ビザ申請表を審査する。市公安局は国際学生の北京居留の管理及び違法案件・事件の処理などを担当し、また市外弁と共同で外国人の北京留学目的の入国と居留許可の審査を確実に行う。

第五条 国際学生を募集する高等教育機関は、国際学生向けの募集・教育・管理・サービス制度を確立・補完し、国際学生の募集・教育・管理に対して主な責任を負わなければならない。

第二章 学生募集管理

第六条 国際学生を募集する高等教育機関は、それに相応する教育上の諸条件と学生を育成する教育能力を備えなければならず、国の関連規定に基づき、自主的に国際学生の募集を行う。

第七条 国際学生を募集する高等教育機関は、市教委に届け出なくてはならない。

第八条 高等教育機関が募集する国際学生の種類として、専科生、学部生、大学院修士及び博士を含む学歴教育(ディグリー・プログラム)を受ける学生と、予科生、研修生、研究学者を含む非学歴教育(ノンディグリー・プログラム)を受ける学生がある。

第九条 高等教育機関はその学校経営における諸条件と学生を育成する能力に基づき、自主的に国際学生募集計画と専攻を決める。国の別途規定がある場合は、それに従う。

第十条 高等教育機関は国家の学生募集規定に基づき、当校の国際学生募集要項を制定・公布し、学生募集要項に規定された要件と手順に基づいて国際学生を募集する。

第十一条 高等教育機関は厳格に「学校による国際学生の募集と教育に関する管理弁法」(教育部、外交部、公安部令第42号)、本弁法と高等教育機関が規定する学生募集基準及び手順に従い、学生募集活動を展開すること。国際学生の学力、学歴背景、身分資格、言語能力、経済能力や健康状況などを審査し、試験又は評価を行うことで、募集する国際学生が高等教育機関の入学基準に達していることを保障すること。

なお、国際学生の合否の決定権は高等教育機関にある。高等教育機関は、他校がすでに受け入れた若しくは転校する国際学生に対しては、元の学校の同意を得た上で受け入れることが認められる。

第十二条 高等教育機関が国際学生に徴収する諸費用の項目と基準は、国と市の関連規定に基づく。

国際学生を募集する高等教育機関は、徴収項目、条件、基準、手順及び退学・転校の際の払い戻しを含む諸費用の徴収・払い戻しに関する規定を制定・公開しなければならない。徴収・払い戻しは人民元建てで行われる。

第十三条 外交部が在中国の外国外交代表機関、領事機関及び国際組織の駐中国代表機関の人員及びその帯同家族による高等教育機関入学について別途規定を設けた場合、その規定に従う。規定に基づき関連手続きを行っていない場合、高等教育機関は受け入れてはならない。

第十四条 高等教育機関は18歳未満かつ両親が北京に常住しない国際学生を受け入れる前に、その両親に北京に常住している外国人又は中国人に当該国際学生の後見を正式に委託し、関連証明書類を提出することを求める。

高等教育機関は短期グループ留学の国際学生を受け入れる前に、外国の派遣機構と協議書を締結しなければならない。18歳未満の学生を受け入れる際に、外国の派遣機構はその所在国の法律・規定に基づき、未成年者の出入国を組織するのに必要な法的手続きを事前に済ませておき、同伴に監督者を派遣する。監督者は国際学生の高等教育機関の在学期間中の後見人とする。

第十五条 国務院教育行政部門は、選抜により高等教育機関へ中国政府奨学金生の育成を委託する。中国政府奨学金生の育成事業を担う高等教育機関は、中国政府奨学金生を優先的に受け入れる。

第十六条 市教委は国際学生を対象とする市レベルの奨学金を設立する。奨学金の管理規則は別途制定する。

第十七条 高等教育機関は、国際学生を対象とする奨学金を設立することが認められる。企業・事業体、社会団体、その他の社会組織及び個人による国際学生奨学金の設立を推奨するが、奨学金制度に不合理な条件を付加してはならない。

第三章 教育管理

第十八条 国際学生を受け入れる高等教育機関は、国際学生教育計画を学校全体の学生教育計画に組み入れ、国際学生教育に適した教員を選抜し、教育の質を保証する制度を確立・補完する。

第十九条 中華人民共和国の公用語は、高等教育機関が国際学生を育成する際に使われる基本的な教授言語である。中国の公用語に関する能力が中国で勉強できる水準に達していない国際学生に対し、高等教育機関は必要な語学教育を提供することが認められる。

第二十条 条件を備えている高等教育機関は、国際学生のために外国語による専門科目授業を開設することが許される。外国語を使用して高等学歴教育を受ける国際学生は、学位論文もそれに相応の外国語による執筆を認めるが、論文の要旨は中国語で作成する必要がある。学位論文の口頭試問における外国語使用の可否は、所属の高等教育機関の判断に委ねる。

第二十一条 高等教育機関は国際学生の成績と日頃の行いを事実に沿って記録し、在学中の国際学生の出席管理を強化すること。欠席日数が多い国際学生や長い間に学校に来ない国際学生に対しては、高等教育機関の規定に基づいて処分を行い、規定に基づいて関係部門に報告する。

第二十二条 高等教育機関は各自国際学生の専攻変更(転部・転科)の条件と手順を定め、関連の情報を開示する。

第二十三条 高等教育機関は育成計画に基づき、国際学生の教育実習と社会実践を手配する。実習・実践場所の選択は国の関連規定に基づいて行う。

第二十四条 高等教育機関は国の関連規定により、国際学生に学歴証明書又はその他の学業証明書を授与する。高等教育機関は受け入れた国際学生に対し、学籍と卒業証書の電子登録を適時に行う。

高等教育機関は学位授与条件を満たした国際学生に学位証書を授与する。

第二十五条 高等教育機関は中華人民共和国教育部の「在中留学生高等教育質量規範(試行)」(教外〔2018〕50号)の規定に基づき、国際学生を育成し、留学生教育を全校の教育品質保障体系に組み入れ、統一した管理を強化し、中国人学生と外国人学生を対象とする教育管理・試験評価制度の基準を統一し、平等な教育資源と管理支援を提供し、中国人学生と外国人学生との文化交流とそれぞれの合法的な権益を保障する。

第二十六条 高等学歴教育において、「中国語」と「中国概況」は必修科目とする。「政治理論」は哲学や政治学を学ぶ国際学生の必修科目とする。

第四章 学校管理

第二十七条 国際学生を受け入れる高等教育機関は、国際学生の管理を担当する学校の責任者を指定し、国際学生管理業務を担当する専門部署を設置する。学校の関係部門の職務分掌を明確にし、国際学生の募集・教育・管理・サービス・卒業生との連絡などの仕事を行う。

第二十八条 国際学生を募集する高等教育機関は、国際学生が情報を取得しやすくするために、国際学生に対して学校の基本状況、学生育成状況及び国際学生向けの管理・サービス制度を公開する。

第二十九条 高等教育機関は、国際学生に食事や宿泊など必要な施設やサービスを提供し、サービスや施設の利用管理制度を整備して情報を公開しなければならない。高等教育機関は、国際学生の校内宿泊管理を規範化し、国際学生寮の管理制度を確立し、安全面において出現可能なあらゆる問題に対して、巡回調査をきちんと行い、危険の未然防止と回避を心掛ける。

公安機関の許可を得てホテル業対象の治安管理情報システムを利用する国際学生寮について、国際学生がチェックインしてから24時間以内に宿泊登録を行い、公安機関に国際学生宿泊登録情報を報告する必要がある。学校外の宿泊施設に宿泊する国際学生については、高等教育機関が国際学生にチェックイン後の24時間以内に居住地の公安機関へ宿泊登録をするように注意を促す。

第三十条 高等教育機関は、国際学生の入学時の教育を着実に展開し、国際学生を対象とする中国の法律・法規、校紀・校則、国家状況と学校状況、中華民族の優秀な伝統文化と風俗習慣などの内容に関する教育を展開し、学生が学習・生活環境に素早く適応するように支援する。法制教育と安全教育を効果的に展開し、国際学生が中国滞在中に守るべき基本的な法律と常識を身につけ、法律意識と安全予防意識を強化するように支援する。高等教育機関は入学手続きの際、国際学生と中国の法律・法規や高等教育機関の校紀校則など国際学生が守るべき内容が記載されている「告知書」を締結する。

第三十一条 高等教育機関は国際学生のために専門の指導員を設け、国際学生の学習・生活の面での需要を把握し、情報提供、相談、文化・スポーツ活動などのサービスを適時に提供する。国際学生のための指導員と国際学生との比率は、中国人学生のための指導員と中国人学生との比率を下回ってはならず、国際学生のための指導員は中国人学生のための指導員と同じ待遇を受けるものとする。

第三十二条 高等教育機関は国際学生の募集広報、ビザ管理、学籍管理、宿泊管理、安全管理などに関わる規則・制度を確立し、国際学生向けマニュアルを作成し、操作可能な緊急安全事前対策案を制定し、緊急事態に対応する責任者と作業内容を明確にし、緊急事態が速やかに対応されるように保障し、安全・安定を脅かすリスクの発生抑止と被害防止に力を尽くす。

第三十三条 高等教育機関が受領した外国人留学者入国ビザ申請表は、当該機関の使用に限る。「専人専櫃保管(指定される保管者により、専用の保管場所に保管)」「錯打留存(製表が間違った場合、その表を破棄せずに保存しておく)」の制度を厳格に実行し、他機関や個人への申請表の提供を禁ずる。

第三十四条 高等教育機関は、さらなる情報伝達業務の制度化、規範化及び科学化を推進し、重大事故・緊急事態に遭遇した場合、速やかに市の関係部門に報告する。

第三十五条 高等教育機関は、国際学生の心身の健康に役立つ文化・スポーツ活動への参加を奨励し、文化・スポーツ活動に参加するための条件とサービスを提供する。国際学生の民族習慣と宗教信仰を尊重する。ただし、宗教活動の場は提供してはならない。

高等教育機関は原則上、国際学生が参加する軍事訓練・政治的活動を企画しない。

第三十六条 高等教育機関は中国人学生の学籍管理規定を参照し、国際学生学籍管理業務を展開する。国際学生に対して退学処分又は除籍処分を下した場合、速やかに北京市公安機関出入国管理部門に報告し、法に基づいて学習類居留証明書の抹消手続きを行う。また、高等教育機関は国務院教育行政部門の規定に基づいて届出を行う。

第五章 ビザ及び居留証明書の管理

第三十七条 外国人が北京における高等教育機関への入学を申請する場合、入国前に、本人の国籍国若しくは居住国の在外公館、又は外交部が委託するその他の在外機関に、学習期間に相応した学習類ビザを申請する。長期留学を申請する場合、規定に従って高等教育機関により発行された入学通知書、外国人留学者入国ビザ申請表及び「外国人体格検査記録」などの資料を提出し、「X1ビザ」を申請する。短期留学を申請する場合、高等教育機関により発行された入学通知書及び外国人留学者入国ビザ申請表などの証明資料を規定通りに提出し、「X2ビザ」を申請する。

第三十八条 国際学生が保有する学習類ビザに、入国後に居留証明書の発行申請をする必要があると明記された場合、入国日から30日以内に、北京市公安機関出入国管理部門にて学習類外国人居留証の申請を行い、要求に応じて高等教育機関により発行された入学通知書、留学期間が明記された入学証明書などの関連資料を提出する。

ビザの滞在期間を延長する必要がある場合、国際学生はビザに明記された滞在期限の満了日の7日前までに北京市公安機関出入国管理部門にて延長の手続きを申し込み、要求に従って関連資料を提出する。

「学習類居留許可」の居留期限を延長する必要がある場合、国際学生は居留許可の有効期限の満了日の30日前までに北京市公安機関出入国管理部門にて延長の手続きを申し込み、要求に従って関連資料を提出する。

第三十九条 その他の種類のビザ、「滞在許可証」又は学習類以外の居留許可証を持ち、北京に滞在している外国人は北京における高等教育機関での長期留学が決まり、かつビザ発給条件に合致している場合、高等教育機関が発行した入学通知書と外国人留学者入国ビザ申請表などの関連資料を北京市公安機関出入国管理部門まで持参し、所持ビザを「学習類居留許可証」に切り替えるための申請手続きを行う。

第六章 監督管理

第四十条 国際学生の募集と育成の過程において、高等教育機関に以下のような行為があったとき、市教委は高等教育機関に改善を命じ、「中華人民共和国教育法」の関連規定に基づいて相応の責任を追及し、国際学生の募集を制限する。

(一)国家規定と学校の募集規定に違反して学生を受け入れた場合

(二)学生募集にあたり、不当な利益を求める行為があった場合

(三)費用の項目と基準を公開しておらず、項目と基準に従わずに料金を徴収した場合

(四)規則に違反して学位証書、学歴証書又はその他の学業証明書を授与した場合

(五)教育の質が要望に達しておらず、管理とサービスの不適切により社会に悪影響や劣悪な結果をもたらした場合

(六)規則に違反して外国人留学者入国ビザ申請表を譲ったり使用したりした場合

(七)その他の法・規則違反行為があった場合

第七章 国際学生の権利と義務

第四十一条 国際学生は中国の法律・法規を遵守し、中国の風俗習慣を尊重し、校紀・校則を遵守し、高等学校の時間割とカリキュラムに従って課程を履修し、規定に従って卒業試験又は審査を受け、学校の学習任務を完成する。

第四十二条 国際学生は入学時に中国の衛生行政部門の規定に従い、中国衛生検疫部門にて「外国人体格検査記録」の確認手続きを行い、若しくは健康診断を受ける。健康診断で「中華人民共和国出国入国管理法」に規定されている深刻な精神障害、感染性肺結核病、又は公共衛生に重大な危害を及ぼす可能性のあるその他の感染症を患っていることが確認された場合は、公安機関が法に従って対応する。

第四十三条 高等教育機関は国際学生全員保険制度を実施する。国際学生は中国の関連規定と高等教育機関の要求に基づいて保険に加入する。学生が規定に従って保険を購入することをしない場合、期日までに保険に加入することを要請する。期限が過ぎても保険に加入しない場合、高等教育機関はその入学を許可しない。学生がすでに高等教育機関に在籍している場合は、退学処分に処するか、学籍を認めない。

第四十四条 高等学歴教育を受ける国際学生が入学した後、学生本人の申請を経て高等教育機関の同意を得た場合、専攻を変更することが認められる。

第四十五条 高等教育を受ける国際学生は、高等教育機関の許可を得て、学校内で指定された場所と範囲において自国の重要な伝統的な祝日を祝う活動を行うことが許される。ただし、他国・他民族に反対したり他国・他民族を攻撃したりし、公衆道徳に反する言動を行うことを固く禁ずる。

第四十六条 高等教育を受ける国際学生は、在籍している高等教育機関の許可を得て、学校内にサークル・団体を設立することができる。中国の法律・法規に規定された範囲内で活動し、高等教育機関の指導と管理を受ける。

第四十七条 国際学生は自発的に公益活動、中国の重要な祝日の祝賀イベントに参加することが認められる。ただし、学校内で宣教活動、宗教集会などのいかなる宗教活動にも参加してはならず、それらの活動を行ってもならない。

第四十八条 高等教育を受ける国際学生は、在学期間中、勤工助学(課外時間のアルバイト)と学校外での実習活動に参加することが認められる。在籍している高等教育機関の同意を得た後、北京市公安機関出入国管理部門に、居留証明書にアルバイト若しくは実習を行う場所、期間などの情報の付記を申請する必要がある。ただし、就業や商業若しくはその他の経営活動に従事してはならない。

第四十九条「中華人民共和国出国入国管理法」「中華人民共和国治安管理処罰法」「中華人民共和国外国人出入国管理条例」及び「中華人民共和国における外国人による宗教活動に関する管理規定」などの法律・法規に違反した国際学生に対して、公安などの主管部門が法により処分する。校則に違反した国際学生に対しては、高等教育機関が学校の関連規定に基づいて処分する。

第八章 附則

第五十条 本弁法における短期留学とは、高等教育機関における留学期間が180日以下ということであり、長期留学とは、高等教育機関における留学期間が180日を超える留学のことである。

第五十一条 関係部門の承認を経て、大学院教育の任務を担う科学研究機関が国際学生を募集する場合、本弁法に基づいて実施する。

市教委が承認した非学歴高等教育機関が国際学生を募集する場合は、本弁法に基づいて実施する。

第五十二条 本弁法(規則)は公表の日から施行する。その発効と同時に、北京市教育委員会、北京市人民政府外事弁公室、北京市公安局が1997年9月19日に公表した「外国人留学生業務に係る北京市の若干の規定に関する通達」(京教外〔1997〕022号)は廃止される。

第五十三条 北京市教育委員会が本弁法を解釈する責任を負う。



中国語の原文:http://www.beijing.gov.cn/zhengce/zhengcefagui/202004/t20200413_1802690.html

(本文章は中国語の原文に基づいています。日本語を含む他言語の翻訳はあくまで参考の為のものであり、言語間で内容に差異があった場合は中国語の原文が基準となります。)